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WWW(World Wide Web)とは
インターネットにどのようなイメージを思い浮かべるでしょうか。インターネットといえば、多くの方が「ホームページ(ウェブサイト)」をイメージされるのではないでしょうか?
現在では、動画や音楽のストリーミング配信、ダウンロードが一般的になってきており、ページの閲覧だけがインターネットのサービスではないことが常識的になってきていますが、ひと昔前までは、インターネット=ホームページでした。
その原因は、爆発的にヒットした「Windows95」の発売によってインターネットが一般化したからだと言われています。
それまでインターネットは簡単に利用できるものではなく、このとき初めてウェブブラウザ(ホームページを見るためのソフトウェア)が搭載され、誰もがインターネットを気軽に利用できるようになりました。
そのイメージが鮮烈だったのか、ブラウザの名称が「インターネットエクスプローラ(Internet Explorer)」だったためか、インターネット=ホームページというイメージが定着しました。
当時のホームページは文字の情報ばかりで、作成者の一方的な情報発信をするものでしたが、技術の進化にともなって、文字情報以外にも様々なデータをダウンロードできるようになり、SNSが普及してくると、ホームページの閲覧者からも双方向でデータのやり取りができるようになりました。
ホームページ上から提供できるサービスはどんどん増えています。例えば、Yahoo! Japan のホームページには、情報検索はもちろん、最新ニュースもショッピングも動画もメールもなんでも揃っています。
そのため、ホームページとは何かという定義さえ難しくなってきていますが、このホームページもインターネットの要素の中のひとつに過ぎないのです。
では、本項でホームページの仕組みを学習し、次項以降でその他の要素について学習していきたいと思います。
そもそも、現在「ホームページ」という名称を使っている人はあまりいないかもしれません。テレビCMでも「続きはウェブで」と言っているので、耳にする機会もあまりないのではないでしょうか。
ひと昔前までは誰もが「ホームページ」と言っていました。
実際のところ「ホームページ」という呼び方は正確ではありません。正式には「ウェブサイト」または「ウェブページ」が正しい名称です。詳しくは、名称 で学習しますが、ウェブサイトというのは、トップページを頂点としたピラミッド型にページがリンクされて、全体でウェブサイトが形成されています。
例えば、先ほどの Yahoo! Japan というサイトは、トップページからいくつものリンクが貼られ、いくつものページが集まって「Yahoo! Japan」というウェブサイトを形成しています。
つまり「ウェブサイト」とはページの集合体を表す用語で、その中の1ページを指す用語が「ウェブページ」になります。ウェブサイトのトップページのことを「ホームページ」と呼ぶことから、日本では「ホームページ」が定着しました。
したがって、以降はウェブサイトとウェブページに用語を統一して解説していきますので、ご留意ください。
では、ウェブサイト(ウェブページ)は、どのように作られているのでしょうか?
様々なサービスが利用できることから、何か凄いシステムなんじゃないかと思われるかもしれませんが、
ウェブページはただのテキストファイル
に過ぎません。
主な拡張子 で解説のとおり、「.htm」もしくは「.html」の拡張子をもつテキストファイルがウェブページのファイルになります。
テキストファイルとはいっても、もちろんプレーンテキスト(文字情報だけのファイル)ではありません。
ウェブページのテキストファイルは、
ハイパーテキスト
という通常のテキストを超えた「超テキスト」なのです。
何が「超」なのかというと、テキストの中に文字以外の画像データや音声データなどを組み込むことができるので、
マルチメディアを扱うことができる
ということがひとつです。
つまり、テキストファイルでありながら、音楽や動画を組み込んだマルチメディアファイルを作成することが可能だということです。
そして、もっとも大きな特徴は、
複数のファイルを相互に関連付けて結び付けることができる
ということです。
具体的には、前項でも学習した文章中の文字や図等をクリックすると、関連するページや関連する別のファイルにジャンプするリンク機能のことです。
この機能を、
ハイパーリンク
と言います。
ハイパーリンクでファイルやページを結びつけることで、インターネット上で無限大に情報量が広がっていきます。
ただのテキストファイルであれば、書いてある文章の最初から最後までの一連の文章を読むだけで情報は終わってしまいますが、キーワードにリンクが貼ってあれば、自由にそちらの情報も読みに行くことが可能になります。
ハイパーテキストのもっとも大きな特徴は、このハイパーリンクを埋め込むことができるということになります。
ハイパーテキストという技術は、1989年にヨーロッパの原子核研究所で開発された論文閲覧システムが始まりとされています。
大量にある論文の山の中から欲しい情報を探し出して読むという作業は、恐ろしく時間がかかっていたようです。当時のシステムでは、すべての文献をひとつのコンピュータに集めて置いておかなければならず、多くの人が文献を参照しようとすると、それぞれに文献データをコピーして渡すといった処理が必要でした。
そのため、コンピュータや回線に負荷がかかってしまいパフォーマンスが著しく低下したり、ひどいときにはパンクしてしまうという問題があったのです。
つまり、前項で学習した負荷分散の考え方にもとづいた仕組みで、バラバラにデータが保存されていても、簡単にリンクして参照することができるようになり、負荷が分散されてパフォーマンスが向上したというわけです。
もちろんリンクだけでは解決しない問題でしたが、ハイパーテキストは構造化して記述されているため、検索にも威力を発揮しました。(構造化について詳しくは、ウェブページの仕組み(2) で解説します)
その論文閲覧システム、ハイパーテキスト技術を実装した文書システムが、現在のウェブサイトの始まりです。
このシステムを当時の開発者は、
WWW(World Wide Web)
と名付けました。
WWWは、World Wide Web(ワールド ワイド ウェブ)の略で、ダブリューダブリューダブリューと読みます。それがインターネットの普及とともに、世界中に普及しました。WWWシステムはインターネットに最適なシステムだったのです。
ハイパーテキストに埋め込まれたハイパーリンクによって、世界中のあらゆるファイルがリンクの鎖でつながり、まさに文字どおり「クモの巣」のように世界を覆っているのです。当時の開発者は「World Wide Web」と名付けたことから、インターネットでのWWWの発展と普及を見据えていたのです。
では、WWWによって利用することができるハイパーテキスト(ウェブページ)の作成方法を知っておきましょう。
ウェブページは、メディアファイルやハイパーリンクを埋め込むことができる、通常のテキストを超えた「ハイパーテキスト」であると学習しました。しかしテキストファイルであることには変わりないので、文字によって成り立つファイルには違いありません。
ハイパーテキストを作成するには、
HTML言語(エイチティーエムエル)
というコンピュータ言語で記述する必要があります。
HTMLは「HyperText Markup Language」の略で、ハイパーテキストをマークアップ(記述)する言語になります。
ハイパーテキストを記述できるのはHTML言語だけではありませんが、HTML言語は習得が容易なことから、インターネットではHTMLが最も普及しています。(詳しくは、ウェブページの仕組み(1) で解説します)
いまこのページを見ているということは、WWWシステムのハイパーテキスト(HTML文書)を見ているということになりますが、このページが日本語で書かれていることに疑う余地はありません。
しかし、実際は異なります。そう見えているだけなのです。
下図は、HTML言語で「このページ」を記述している様子です。通常は専用のアプリケーションソフトを使用して作成します。
このように、HTML言語で記述されたHTML文書ファイルは、ウェブページとして見ると日本語だけなのに、実際には<p>などの文字が記述されているのです。
なぜ、これらの英語文字が消えて日本語だけが表示されるのかというと、
ウェブページは専用のアプリケーションソフトを使用して閲覧している
からです。
皆さんもインターネットでウェブページを閲覧するときには、必ず専用アプリケーションソフトを起動させているはずです。
このアプリケーションソフトのことを、
ブラウザ
と言います。
代表的なブラウザには、「Internet Explorer(インターネット エクスプローラ)」、「Windows Edge(マイクロソフト エッジ)」、「Firefox(ファイアフォックス)」、「Safari(サファリ)」、「Google Chrome(グーグル クローム)」などがあります。
ブラウザを通してウェブページを表示することで、HTML言語の英語部分(タグという)が省かれ、リンクによってページをジャンプすることが可能になります。
逆に言うと、その専用のアプリケーションソフトを使用しなければ、英語文字も消えることなくHTML言語のすべてが表示されます。
HTMLファイルもテキストファイルの一部なので、「メモ帳」などのテキストエディタ(文字情報だけのファイルを作成するためのアプリケーションソフト)で開くことができます。
下図は、HTML言語で記述された「このページ」を、「メモ帳」というテキストエディタで開いた様子です。
このように、テキストエディタで開けるということは、ホームページビルダーなどのウェブページ作成ソフトがなくても、テキストエディタに直接HTML言語を記述すれば、ウェブページは作成することができるということでもあります。
HTML言語はコンピュータ言語でありながら、専用のソフトウェア以外にも、上図のようなテキストエディタで記述できるシンプルで習得しやすい言語です。このこともWWWが発展してきた大きな要因となっています。
そして、HTML言語等で作成されたWWWドキュメント(ウェブページ)は、インターネット上で公開されることになります。
当然ながら、ファイルを自分のパソコンに保存しておいたままでは公開できません。インターネット上のしかるべき場所に保存することで、誰でも閲覧することができるWWWドキュメントとなるのです。
この場所のことを、
WWWサーバ(またはウェブサーバ)
と言います。
WWWサーバは、WWWを構成するための専用ソフトウェアがインストールされた高性能コンピュータで、そこに作成したファイルをアップロード(転送)して保存します。
WWWサーバはインターネット上に無数に存在し、そのいずれかの場所(サーバ)に作成したWWWドキュメントを置いて(アップロードして)公開するのです。
通常は、前項で学習したインターネット接続業者であるプロバイダが設置しているWWWサーバや、有料のレンタルサーバにアップロードします。ある程度の知識があれば、WWWサーバを自分で設置(自宅サーバ)することも可能です。
そのWWWサーバの場所を指定する方法を、
URL(またはURI)
と言います。(URLとURIの違いについては、URI(URL) で詳しく解説します)
URLはインターネット上の「住所」のことです。URL(ユーアールエル)という言葉は何度も耳にしたことがあると思いますし、実際に打ち込んだ経験がある方がほとんどだと思います。
ブラウザにURLを入力することで、該当するWWWサーバにアクセスしてページが閲覧できます。(URLのほうが馴染みがあると思いますが、以降はURIに表現を統一します)
つまり、URIを打ち込んだ(リンクをクリックした)ときに、データの送受信が行われているのです。
URIを入力して、WWWサーバに「情報が欲しい」というウェブページの表示要求を出し、WWWサーバは要求に答えてウェブページを表示させます。
実際にはウェブページをWWWサーバからダウンロードしてブラウザに読み込んでいます。そのため、ウェブページのデータをWWWサーバから受け取る必要があります。
この際のデータのやり取りも、当然ルールに従って行われています。それが前項で出てきたプロトコルになります。プロトコルとはルールや規格と同じような意味です。
ウェブページのデータ送受信のプロトコルを、
HTTP(エイチティーティーピー)
と言います。
URIを入力する際に「http://www.~」と入力した経験があると思います。これは、HTTPプロトコルで通信し、WWWシステムのどこどこにあるファイルを指定するという意味になります。
整理すると、URIによってWWWサーバを指定し、ウェブページのデータを「HTTP」という通信規格(プロトコル)で受け取り、ブラウザで表示しているということになります。(詳しくは、HTTPとは で学習します)
このように、インターネット=ホームページという概念は、インターネット=WWWに置き換えることができます。ウェブサイトはWWWの仕組みの中で閲覧することができています。
ただし、インターネットの要素はWWWだけではありません。WWWにおいてHTTPというプロトコルで通信が行われているということは、その他の要素では、その他のプロトコルが存在するということになります。
それらついては順を追って学習していきますが、HTML、URI、HTTPという技術に支えられたWWWシステムは、インターネットの原動力となっています。
更新履歴
- 2008年7月25日
- ページを公開。
- 2009年4月26日
- ページをXHTML1.0とCSS2.1で、Web標準化。レイアウト変更。
- 2018年1月26日
- ページをSSL化によりHTTPSに対応。
- 2022年6月16日
- 内容修正。
参考文献・ウェブサイト
当ページの作成にあたり、以下の文献およびウェブサイトを参考にさせていただきました。
- 文献
- 図解入門 インターネットのしくみ
- ハイパーテキストとHTMLの構造
- http://center.edu.wakayama-u.ac.jp/DST_BOOK/shuuron/kahatsu2.htm
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