画像ファイル ~ 主なファイル形式と特徴 ~

象ファイルの形式はいくつもの種類があり、用途によって使い分けたり、画像の種類によって決定されたりするのが一般的です。

用途というのは、画像ファイルをインターネットのウェブページに利用するとか、どの媒体に保存するかといったことで、画像の種類というのは、イラスト等の「絵」であるのか「写真」であるのか、または「フォント」なども画像の種類とすることができます。

例えば、画像をウェブページに利用するのであれば、ユーザーは画像ファイルをダウンロードして表示するわけですから、ファイルサイズを小さくしなければなりませんし、その画像のファイル形式が汎用的なもので互換性の高い形式を選択しなければなりません。

また、ウェブページに画像を使用する場合は、大きいファイルサイズの画像でも、表示サイズ(横×縦)を指定することで表示される画像の大きさを指定することができますが、

ウェブページ上の見た目のサイズとダウンロードされるファイルサイズは関係ない

ので注意が必要です。したがって、画像編集ソフトなどで元の画像ファイル自体のサイズを小さくする必要があります。

最近では、デジカメの写真ファイルは数MBものサイズがあるので、それをそのままウェブページに利用してしまうと、ブロードバンド環境にないユーザーの場合は、画面表示だけでかなりの時間がかかってしまいます。

こうした画像ファイルのファイルサイズは、画像の「ファイル形式」、画素の集約度である「解像度」、画像に使用している「色数」の3つで決まります。

解像度を小さくすれば当然サイズは小さくなりますし、色数もフルカラー(1,677万色)で表示する必要のないイラストなどでは、色数を少なくすることでそれだけ情報量を減らし、ファイルサイズを小さくすることができます。(解像度および色数については、出力装置 を参照してください)

しかし、もっとも大きく影響するのはやはり「ファイル形式」になります。画像のファイル形式には大きく分けて2つの区分があります。まず一つは、

ラスター形式(または、ビットマップ形式)

という形式です。ラスター形式は、ビットマップフォントと同様に、一つひとつの画素の色を変化させて、その画素の集合によって画像を表現する形式です。(ビットマップフォントについては、フォントとは を参照してください)

また、ビットマップフォントと同様に、拡大を行なうと輪郭にジャギーが現れたり、縮小すると潰れることがあるため、画像の拡大、縮小、変形などには適していませんが、多数の色を正確に表現することができる ので、写真などの緻密なデータを扱うのに適しています。

ただし、画質は解像度に大きく依存し、解像度を上げれば上げるほどファイルサイズが増大します。例えば、1024×768の解像度で24ビットフルカラーの画質の場合、ファイルサイズは約2MBになります。(画素一つあたり数バイトのデータ量を持つとされています)

2MBというサイズは、現在のデジカメ画像のサイズとしては適正と思われるかもしれませんが、1024×768という解像度は、デジカメの画素数に直すと約75万画素になります。現在では、1000万画素の製品が販売されているのですから、画像をそのままラスター形式にデータ化した場合は、一枚につき数十MBという大変なファイルサイズになるということになります。

※1024×768は、標準的な15インチのディスプレイの解像度です。現在の800万画素クラスのデジカメ画像の解像度は3264×2448程度であり、そのままディスプレイで表示すれば、ほんの一部しか表示できないほど大きいものです。通常は、ビューアソフトを使用してディスプレイで全体像を縮小表示しています。

そのためラスター形式では、画像を圧縮して保存する ことでファイルサイズを縮小化しています。画像ファイルの圧縮方式には2つの種類があります。

可逆圧縮

可逆とは、「復元することが可能」という意味で、圧縮前の元の状態に完全に復元することができる圧縮方式です。

可逆圧縮の基本原理は、前項で解説のとおり、例えばデータが「AAAABBBBCCDD」だった場合、「A4B4C2D2」のように、反復する部分を数値化してサイズを圧縮します。

画像ファイルは文書ファイル以上にこうした反復する冗長な部分が多いため、画像を10分の1程度まで縮小して保存することが可能となります。

非可逆圧縮

非可逆とは、「復元することが不可能」という意味で、圧縮前の元の状態には完全に復元することができない圧縮方式です。つまり、保存するときに画質を劣化させて保存させる方式になります。そのため、圧縮率を高めたり圧縮を繰り返すと画質はかなり劣化します。

非可逆圧縮の基本原理は、画像における人の目に感知できない高周波の部分を切り捨てることでサイズを圧縮します。データの一部を欠損させているわけですから、元に戻すことはできません。

ただし、可逆圧縮よりも高い圧縮率を得ることができ、たいていの場合は圧縮率を指定することが可能です。目に見えない部分における多少のデータの欠損があっても、意味の変わることのない写真等の画像に利用されています。

これらの圧縮方式は、画像のみならず動画、音声ファイルにも利用されています。

ラスター形式には多くのアプリケーションソフトが対応しており、ウェブで利用される主な画像形式は、ほとんどがこのラスター形式になります。

そして、もう一つの形式は、

ベクター形式

という形式です。ベクター形式は、アウトラインフォントと同様に、起点となる位置や色などの情報をもとに、計算によって画像を数値化して表現する方式です。(アウトラインフォントについては、フォントとは を参照してください)

したがって、画像を拡大、縮小、変形してもその都度計算が行われて値が算出されるため、ジャギーが目立たず、画質がほとんど劣化することはありません。

また、ラスター形式に比べて、算出する起点の色や位置情報があればよいのでファイルサイズが小さいという特徴があります。(一律に小さいわけではありません)

ただし、写真のような複雑で緻密な画像から線や面を抽出して数値化することには適さないため、曲線や色がはっきりとしたイラストや図面等に適した形式です。

ベクター形式の代表的なものに、アウトラインフォントやCAD(キャド:コンピュータによる設計・製図システム)などかあります。

現在、ベクター形式の画像ファイルの普及が推進されてはいますが、前述のとおりインターネットで利用されているほとんどの画像形式はラスター形式になります

では、まずラスター形式から具体的なものを解説して行きたいと思います。

GIF形式(ジフ)

GIF形式は、最大256色まで保存できる画像形式で、色数が限られているためイラストやアイコンなどに利用されており、インターネットで広く普及している形式です。主な拡張子 でも解説しましたが、拡張子は「.gif」になります。

256色のうち1色を透明色にすることができるので、例えば背景を透明にしてウェブページの背景画像と重ね合わせるということも可能です。

また、複数の画像を順番に表示させて、動きを付けた「アニメーションGIF」を作成することもできます。企業のバナー広告なども多くがアニメーションGIFを使っています。

圧縮方式は、可逆圧縮方式であるLZWという方式を採用しています。インターネットにおけるGIF形式の普及にともなって、LZWの特許を所有するUnisys社がライセンス料を徴収し始めたため、ボイコット運動が起こり、他の形式の普及が促進されましたが、現在では特許は失効しています。

JPEG形式(ジェイペグ)

JPEG形式は、フルカラーに対応した画像形式で、写真などに広く利用されている画像形式です。拡張子は「.jpg」になります。

圧縮方式は、非可逆圧縮方式が一般的で、JPEG形式は他の形式に比べても高い圧縮率を実現しています。しかし、非可逆圧縮のために、一度圧縮を施したファイルを元に戻すことはできません。

多くの場合は、保存する際に圧縮率を指定することができるので、ウェブで利用するようにサイズ重視の場合は高圧縮で、画質を重視する場合は低圧縮というように使い分けることができます。

JPEG形式のバージョンアップ版であるJPEG2000形式では、可逆圧縮と非可逆圧縮を選択できますが、現在それほど利用されていません。

また、デジタルカメラの保存形式としても広く利用されており、JPEG形式で保存することで撮影枚数を確保しています。(前述のとおり、そのまま写真をデータ化すると膨大なファイルサイズとなってしまいます)

さらに、アニメ―ションGIFと同様に、複数のJPEG画像を順番に表示させて、動画ファイル「Motion JPEG」を作成することもできます。Motion JPEGは、デジカメの動画機能に利用されています。

PNG形式(ピング)

PNG形式は、フルカラーに対応した画像形式で、GIFJPEG形式に代わってウェブで広く利用されることを目指して開発された画像形式です。拡張子は「.png」になります。

開発のきっかけは、LZWの特許ライセンス問題で、PNG形式はW3Cによって推奨されています。GIFよりも圧縮率が高く、画像中のすべての画素に対して透明色を指定することができます。つまり、何色でも透明化が可能というわけです。

圧縮形式は、LZWに変わるZIP方式の可逆圧縮であり、フルカラーの画質を劣化なしで保存することもできます。ただし、非可逆圧縮のJPEG形式と同程度の画質を得ようとすると、JPEG形式の倍程度のファイルサイズになると言われています。

また、アニメーション的機能は定義されていません。

BMP形式(ビットマップ)

BMP形式は、Windows標準の画像形式で、拡張子は「.bmp」になります。

フルカラーに対応していますが、基本的に 無圧縮 で保存するため画質の劣化はありませんが、ファイルサイズはかなり大きくなるのが特徴です。

BMP形式は2色、16色、256色、フルカラーの4種類を指定することができ、16色と256色の形式では圧縮オプションが用意されています。

他にも多くの形式がありますが、これらが主なラスター形式の画像ファイルになります。ラスター形式に限っても画像ファイルの種類は膨大にあるため、すべてを列挙することはできません。

次に、ベクター形式の画像ファイルです。ベクター形式は、これまで専用のアプリケーションソフト用のファイル形式であることが多く、ウェブ上では専用のプラグインが必要になる場合があるなど、ラスター形式ほど普及していません。

SVG形式(エス ブイ ジー)

SVG形式は、画像をXML文書として記述するための規格で、W3Cによって公開されています。SVGは「Scalable Vector Graphics」の略で、拡張子は「.svg」となります。(XMLについては、ウェブページの仕組み(2) を参照してください)

XMLベースということは、インターネットにおいてXHTMLで記述されたウェブページに埋め込まれて使用されることを念頭においており、ブラウザの対応やプラグインの提供が進められています。(現在のところInternet Explororでは、プラグインをインストールしないと表示できません)

具体的な記述方法は、XHTMLの記述と同様にタグを用いて「<svg>(画像の詳細を記述)</svg>」のように記述します。つまり、テキストで画像を表現する という形式になります。

当然、ブラウザが<svg>タグに対応していないと画像を表示することはできませんが、画像にリンクを埋め込んだり、JavaScript等と連動させることも可能になります。

SVG形式は、テキストでタグを記述するため、エディタ(テキストファイルを作成・編集するアプリケーションソフト)による画像の作成も可能ですが、記述が非常に複雑なため、専用のアプリケーションソフトを利用して記述するのが一般的です。

画像はベクター形式のため、拡大、縮小しても画像の劣化はほとんどありません。また、アニメーション機能もサポートされています。

この他、ベクター形式の画像ファイルには、CADで用いられる「DXF形式」「DWF形式」「DWG形式」などがあります。

このように、画像ファイルの種類はいくつもあり、今後も新しい形式が誕生していくでしょう。いずれにせよ、クラウドコンピューティングの時代となり、ウェブでの利用を重視したSVGのような形式が普及してくるのではないでしょうか。(クラウドコンピューティングについては、Web2.0・Web3.0とは を参照してください)

更新履歴

2009年10月24日
ページを公開。
2009年10月24日
ページをXHTML1.0とCSS2.1で、Web標準化。レイアウト変更。
2014年5月24日
内容修正。
2018年2月5日
ページをSSL化によりHTTPSに対応。

参考文献・ウェブサイト

当ページの作成にあたり、以下の文献およびウェブサイトを参考にさせていただきました。

文献
図解入門 インターネットのしくみ
画像形式は色々あります
http://www.asahi-net.or.jp/~sy7t-ymj/imagetype.htm
デジタルカメラの「画素数」とは何か?
http://takuki.com/gabasaku/gaso.htm
スティックマン倶楽部SVGとは何ですか??
http://www.multi-facet.org/stickman/about_svg.html