文字幅と間隔を均一に揃える

インデントの微妙なズレや、左端または右端がきれいに揃わないなど、Wordで文字をきっちり揃えるのはなかなか難しいものです。

また、左端右端のみならず、文章全体の「縦」に文字を揃えることもなかなかできません。文字の間隔が違ったり、文字数が均一でないなどのさまざまな要因により、上の行と下の行で文字の位置がズレていることはよくあります。

前項の インデントの微調整 で少し触れましたが、それは、フォントの幅が文字によって異なる場合があること、半角記号や半角スペースによって、その分だけ文字幅が均一にならないこと、Wordの自動調節機能によるものなど様々な要因がありますが、もっとも大きな要因はフォントになります。

フォントについて詳しくは、フォントとは で解説していますが、

等幅フォントとプロポーショナルフォント

という大きな区別があります。等幅フォントは全ての文字を同じ幅で表現するフォントで、「MS明朝」「MSゴシック」「Courier New」「Terminal」などがあります。

対して、プロポーショナルフォントは、文字ごとに最適な幅が設定されるフォントで、「MS P明朝」「MS Pゴシック」「Century」「Arial」などがあります。「P」は「Proportional Font」のPです。

したがって、プロポーショナルフォントが選択されている場合には、文字幅が均一でないために、こうしたズレが生じやすくなります。

下図は、プロポーショナルフォント「MS P明朝」の文章です。

プロポーショナルフォントの文章のイメージ

縦列をわかりやすくするためにグリッド線を入れていますが、明らかに縦が揃っていません。(グリッド線については、基本操作編の 原稿用紙に設定する を参照してください)

等幅フォント「MS明朝」に変更してみましょう。すると、下図のように文字間隔がだいたい揃います。

等幅フォントの文章のイメージ

しかし、フォントを変更しただけでは完璧ではありません。よく見ると、ズレている部分がいくつもあります。まず、2段落目の「あああ~」の文です。1行目と2行目の「あ」の位置がまったく揃っていません。

これは、Wordがデフォルト(初期設定)で、文字数と文字間隔の調整を行っているために起こる現象です。つまり、Wordが自動調整しているために、文字と文字の間隔が一定ではなくなり、たとえ同じような文字や同じ字数の文であってもズレるようなことになるわけです。

文字間隔の調整をしないように設定するには、「ファイル」タブより、「オプション」を選択して「Wordのオプション」画面を表示させます。

「ファイル」タブのメニューのイメージ

「文字体裁」を選択し、「文字間隔の調整」部分の「間隔を詰めない」を選択します。

「Wordのオプション」画面のイメージ

すると、上から2つの文章については、文字の間隔が同じになります。

文字間隔が同じになった文章のイメージ

グリッド線からは多少ズレてしまいますが、均一な文字配置になりました。この「文字間隔の調整」は、デフォルトでは「句読点のみを詰める」になっています。

つまり、句読点については通常文字よりも間隔が狭められているわけです。そのほうが見栄えがいいというWordの判断ですが、これで狭まりが解消されて間隔が同じになりました。(インデントの微調整 で解説した「文章校正」とは異なり、「文字体裁」を変更しても、すべてのWord文書に変更が適用になるわけではありません)

Wordでは、このような自動調整がまだまだあります。

例題の文章を見てもわかるとおり、3段落目と4段落目の文章については、まったく揃っていません。記号や英数字を含む場合は、まだWordの自動調整機能が働いているからです。

まずは、記号の調整を解除します。3段落目を範囲指定した状態で、「フォント」画面を表示させます。

「ホーム」タブのフォント画面を表示する矢印ボタンのイメージ

「フォント」画面の「詳細設定」タブをクリックして、タブを切り替えます。

「フォント」画面の「詳細設定」タブのイメージ

「文字幅と間隔」部分の「カーニングを行う」のチェックを外します。

「フォント」画面の「詳細設定」タブのイメージ

すると、下図のように文章が2行になるまでに間隔が広がりました。

カーニングを解除した文章のイメージ

なんとなく、上2つの文章と間隔が一致しているように見えるでしょうか。このように、

カーニングは隣り合った記号同士の間隔を詰める機能

です。つまり、かぎカッコなどの特殊記号が続いたときには、その間隔を狭めて体裁を整えるというWordの自動調整機能になります。

しかし、これでもまだ完ぺきではありません。よく見るとまだわずかにズレています。

今度は、また文章を範囲指定した状態で、「段落」画面を表示させます。

「ホーム」タブの段落画面を表示する矢印ボタンのイメージ

「段落」画面の「体裁」タブをクリックして、タブを切り替えます。

「段落」画面の「体裁」タブのイメージ

「文字幅と間隔」部分の「日本語と英字の間隔を自動調整する」と「日本語と数字の間隔を自動調整する」のチェックのチェックを外します。

「段落」画面の「体裁」タブのイメージ

すると、下図のように文章が1行に戻りました。

文字間隔が同じになった文章のイメージ

これで3段落目の文章も、上2つの文と間隔が一致しました。このように「日本語と英字の間隔を自動調整する」と「日本語と数字の間隔を自動調整する」とは、文字どおり、日本語と英字、日本語と数字の間隔を自動的に広げるWordの自動調整機能になります。

では、最後に4段落目の文章を揃えてみましょう。

4段落目の文章は、明らかに文字の間隔が広くなっています。こういったことは、英文や英単語を入力しているとよく発生する現象です。なぜかというと、

英単語の途中で改行しない(折り返さない)設定になっている

からです。これを途中で改行する(折り返す)設定に変更します。

また同様に、文章を範囲指定した状態で、「段落」画面を表示させます。「体裁」タブに切り替え、「改行時の処理」部分の「英単語の途中で改行する」にチェックを入れます。

「段落」画面の「体裁」タブのイメージ

すると、下図のように文章が間隔が均一になりました。

文字間隔が同じになった文章のイメージ

このように「英単語の途中で改行する」にチェックを入れると、文字どおり、強制的に改行(折り返し)され、文字間隔がほぼ同じになります。

また、英単語の折り返しにはもう一つの方法があります。このように単語の途中で強制的に折り返すのではなく、ハイフン「-」を挿入して、英単語の続きを示すように表示させることができます。

この機能を「ハイフネーション」といいます。ハイフネーションを設定するには、「ページレイアウト」タブの「ハイフネーション」ボタンより、「自動」を選択します。

「ハイフネーション」ボタンのイメージ

すると、下図のように、英単語の折り返しにハイフンが挿入されます。

「ハイフネーション」が挿入されたイメージ

ハイフンが自動で挿入されない場合は、同ボタンの「ハイフネーションのオプション」を選択して、「ハイフネーション」ウィンドウより、「単語を自動的に区切る」にチェックを入れます。

「ハイフネーション」ウィンドウのイメージ

さて、以上でだいたい文字間隔が均一化されましたが、これでもまだ若干のズレがあることにお気づきでしょうか。文字を揃えるというのは非常に奥が深いのです。

もう一つ処理が残っています。最後は全体的に文字の配置を適正化させます。

「Wordのオプション」画面の「詳細設定」を選択し、「表示」部分の「読みやすさよりもレイアウトを優先して、文字の配置を最適化する」にチェックを入れましょう。

「Wordのオプション」画面のイメージ

すると、下図のように全体的に最適化され、ほぼすべての文章の文字間隔が均一化されます。

文字間隔が同じになった文章のイメージ

ただし、「読みやすさよりもレイアウトを優先して、文字の配置を最適化する」にチェックを入れると、すべてのWord文書に変更が適用されるので、注意が必要です。

以上で、文字間隔を均一に揃える操作は終了です。完璧に揃えるのはなかなか難しいので、結局のところ、あまり気にしないほうがいいのかもしれません。

最後に、禁則処理について補足しておきます。

Wordでは、デフォルトで禁則処理を行うように設定されており、禁則処理によって文字数や文字間隔が自動調整されることがあります。禁則処理とは、

ある特殊文字が行頭や行末に位置しないように自動調整する機能

です。具体的には、下図のように、句読点の「。」や「、」が行頭に位置すること、開始のかぎカッコが行末に位置することなどを禁じる処理になります。

「禁則処理」を解除したイメージ

つまり、このようなところに禁則文字が位置しないように自動処理されるので、上図のようになることは通常はありません。詰められるか、次の行に送られることになります。

禁則文字の一覧は、「段落」画面の「体裁」タブの「オプション」ボタンより確認することができます。

「段落」画面の「体裁」タブのイメージ

または、「Wordのオプション」画面から「文字体裁」を選択します。「禁則文字の設定」部分に「行頭禁則文字」と「行末禁則文字」の一覧が表示されています。

「Wordのオプション」画面のイメージ

デフォルトでは「標準」が選択されており、上図のとおりの文字が禁則文字として設定されています。「高レベル」を選択すると、さらに禁則文字が増えます。

この禁則処理を解除することで、文字の間隔および文字数を一定に揃えることができます。禁則処理を解除するには、「段落」画面の「体裁」タブより、「禁則処理を行う」のチェックを外します。

「段落」画面の「体裁」タブのイメージ

すると、禁則処理が解除になり、禁則文字であっても行頭・行末に位置できるようになります。

ただし、句読点に関しては、これだけでは不十分な場合があります。句読点については、

句読点のぶら下げを行うように設定されている

からです。句読点のぶら下げとは、句読点を行末の文字の直後に配置する機能です。下図のように、強制的に欄外に配置されます。これにより、句読点が行頭に位置しないように調整されているわけです。

「句読点のぶら下げ」が有効なイメージ

句読点のぶら下げを解除するには、同様に「段落」画面の「体裁」タブより、「句読点のぶら下げを行う」のチェックを外します。

「段落」画面の「体裁」タブのイメージ

すると、句読点についても通常の文字と同じ扱いとなり、すべての文字の間隔および文字数を一定に揃えることができるようになります。

以上で、文字間隔に関する操作は終了です。ただし、これらの自動調整機能は、どれかひとつだけを解除しも効果がない場合がありますし、どれかひとつでも有効であれば効果がない場合があります。

なかなか奥が深いので、興味のある方はいろいろ実験してみてください。

更新履歴

2015年2月6日
ページを公開。
2018年1月16日
ページをSSL化によりHTTPSに対応。

参考文献・ウェブサイト

当ページの作成にあたり、以下の文献およびウェブサイトを参考にさせていただきました。

文献
なし
文字間隔の自動調整について(総まとめ) - 教えて!HELPDESK
http://office-qa.com/Word/wd55.htm