挿入した写真の背景だけを削除する・画像データを抜き取る

像をWordで取り扱う頻度は意外と多く、写真やイラストを挿入してポスターや案内状、パンフレット、ハガキ、名刺といった様々なドキュメントを作成していることと思います。

Wordを使えば使うほど、こういった画像を取り扱う頻度は多くなり、ともなって悩ましい問題が発生してきます。それは、「画像の加工」をどのようにするかということです。

例えば、挿入した写真の不必要な部分を削除したい場合や、ある部分だけ抜き取りたい場合、人物写真にモザイク加工したい場合など、画像について様々な「加工」を加えたくなってきます。

基本操作編の クリップアート(イラスト)と写真の挿入 で少し触れた、「Microsoft Office Picture Manager」や「ペイント」のような画像編集ソフトで加工・修正した画像を挿入すれば問題ありませんが、じつは、

Wordでも簡単な画像処理ができる

ので、本項ではその方法を学習して行きたいと思います。簡単な処理に限られますが、なかなか面白い機能もあるので、知っていると使いたくなるような機能です。(ただし、Word2010以降の機能になります)

背景を取り除く

まずは、写真画像をWordに挿入してみましょう。下図のような人物写真を挿入し、Wordの機能で画像から背景を取り除いてみます。(ちなみに画像はロイヤリティーフリーの画像を拝借しています)

Wordに挿入した写真画像のイメージ

画像を選択した状態で、「書式」タブの「背景の削除」ボタンをクリックします。

「デザイン」タブの「背景の削除」ボタンのイメージ

すると、Wordが自動認識した背景部分が紫色になります。つまり、この紫色の部分が削除される(取り除かれる)部分になります。

自動認識された背景のイメージ

一見すると、きれいに背景だけ選択されているようですが、よくみると、人体部分も背景にされていたり、範囲も狭められています。そのため、ここから少々手を加える必要があります。

まずは、狭められた範囲を拡大し、胴の部分が切れないようにしましょう。枠線の四方にある白丸部分をドラッグして、範囲を調整します。

境界線をドラッグして拡大しているイメージ

これで範囲は写真全体に広がりましたが、腕や胴の部分には、わずかに紫の部分(背景に認識されている部分)が残っています。

背景に認識された紫色の部分のイメージ

この部分を背景認識から解除していきます。この状態では「背景の削除」タブが表示されているので、「保持する領域としてマーク」ボタンをクリックします。

「背景の削除」タブのイメージ

すると、カーソルが「ペン」の形に変化します。このペンで、紫色の部分をクリックするか、なぞる(ドラッグする)と、その範囲が背景から削除され、紫色の着色も解除されます。

「保持する領域」としてマークしたイメージ

腕の部分もマークして、その他に解除したい部分があればマークして調整しましょう。けっこう細かく微調整できるので、いろいろ実験してみてください。表示倍率を拡大すれば、より作業しやすくなると思います。(表示倍率の拡大については、表示モード を参照してください)

「保持する領域」としてマークしたイメージ

また、逆に背景部分が正しく背景として認識されていない場合は、「削除する領域としてマーク」ボタンより同様にペンで指定していきます。

「背景の削除」タブのイメージ

一方、マークを間違えた場合は、「戻る」ボタンより戻っても良いですが、「マークの削除」ボタンを選択して、不要なマークをクリックすると、そのマークを削除することができます。

さらに、すべてをもとに戻してもう一度やり直したい場合は、「すべての変更を破棄」ボタンをクリックすると、サラの状態に戻すことができます。

以上で、背景と被写体部分の分離作業は完了です。これで、あとは背景部分を削除するだけです。同タブより、「変更を保持」ボタンをクリックします。

「背景の削除」タブのイメージ

すると、下図のように背景が取り除かれます。

背景が削除された人物写真のイメージ

これで、背景が透明化され、人物部分だけを抜き取ることができました。

トリミング

では次に、トリミングという処理を行います。トリミングとは画像の不要な部分を切り取ることで、同じような意味ですが、ここでは、透明になった部分を切り取ります。

どういうことかというと、背景が透明になってはいるものの、透明な部分も画像として認識されているからです。画像を選択すると、上図のように、背景があった範囲まで枠で囲まれているのがわかります。

この部分は明らかに不要なので、範囲をもう少し狭めてやるわけです。同「書式」タブの「トリミング」ボタンをクリックしてみましょう。

「書式」タブの「トリミング」ボタンのイメージ

すると、画像の枠の四方に、黒い太線が被さるように表示されます。

トリミングの黒枠のイメージ

この黒い線をマウスでドラッグすると範囲を調整することができます。

トリミングの黒枠の範囲を狭めたイメージ

もう一度「トリミング」ボタンをクリックすると、黒枠の範囲に切り取ることができます。

画像をトリミングしたイメージ

デフォルト(初期設定)では、このように四角に切り取ることができますが、「トリミング」ボタンの下半分の矢印部分をクリックして、「図形に合せてトリミング」を選択すると、切り取る形を選択することもできます。

「トリミング」ボタンのメニューのイメージ

これで、画像の不要な背景を削除し、さらに不要になった透明部分もカットすることができました。ここまでが、一般的によく使う画像編集機能になります。

この他にも、コントラストの調整や色、特殊効果などの加工を施すことができます。本項では割愛しますが、同タブの「修正」、「色」、「アート効果」ボタンで簡単にできるので、いろいろ実験してみてください。

「書式」タブの「調整」グループのイメージ

さて、ではこの画像を、画像データとして保存しなおしてみましょう。

つまり、Wordに張りついた状態のWordドキュメントとして保存するのではなく、画像だけを抜き取って画像形式の別ファイルに保存するというわけです。画像形式として保存しておくと、Wordに限らず、他のアプリケーションソフトで使うことができるので便利です。

画像を選択した状態で右クリックし、メニューより「図として保存」を選択します。

右クリックメニューのイメージ

すると、通常の保存画面が表示されます。ここで、任意の画像形式を選択して保存すると、画像だけを保存しなおすことができます。

保存画面のイメージ

ただし、ここで注意が必要なのは、「PNG形式」を選択して保存するということです。

JPEG形式やBMP形式で保存すると、削除したはずの背景も復活して保存されてしまう

ので注意してください。(GIF形式では背景が保存されることはありませんが、画質が落ちてしまいます。画像形式について詳しくは、画像ファイル を参照してください)

さて、では少し脱線して、トリミングの補足をしておきたいと思います。(背景の削除は関係ありません)

トリミングについては、「Microsoft Office Picture Manager」というアプリケーションソフトでも簡単に行うことができます。クリップアート(イラスト)と写真の挿入 でも少し触れていますが、Windows製品であれば、たいていどのパソコンにもインストールされているソフトなので、使い方を知っておいて損はありません。

起動方法は同項のとおりで、「スタート」メニューより、「Microsoft Office」→「Microsoft Office ツール」→「Microsoft Office Picture Manager」を選択して起動させます。

起動したら、画面左上の「ショートカット」ボタンより、「画像へのショートカットを追加」ボタンをクリックして、画像の保存場所を指定して、画像を表示させます。

もしくは、画像を右クリックして、「プログラムから開く」より「Microsoft Office」を選択すると、簡単に画像を「Picture Manager」で開くことができます。

そして、画面上の「画像の編集」ボタンをクリックすると、画面右側に編集メニューが表示されるので、ここで「トリミング」を選択しましょう。

「画像の編集」メニューのイメージ

すると、Wordと同じように黒い太線が、四方に被さるように表示されます。

トリミングの黒枠のイメージ

同様にマウスでドラッグして範囲を調整し、「OK」ボタンをクリックするとトリミングが完了です。

次に、「ファイル」タブより「エクスポート」を選択すると、画面右側の編集メニューが、下図のように「エクスポート」に変化します。「エクスポートするファイル形式」のリストより、任意の形式を選択すると、その形式に変換することができます。

「エクスポート」メニューのイメージ

ここでは、「Windowsビットマップ(BMP形式)」を選択しましょう。BMP形式は、圧縮率が少なく原本に近い画質で保存できます。(画像形式について詳しくは、画像ファイル を参照してください)

そのため、トリミングして小さくなった画像であっても、高画質で保存しておくことができるので、加工前の原本として保存しておくとやり直しが効いて便利です。(JPEG形式などの非可逆圧縮形式では、保存しなおすたびに画質が劣化していきます)

さて、少し脱線しましたが、こうして背景を削除し、被写体だけを抜き取った状態に加工すると、Wordで他の写真やワードアートなどと合成することも可能になります。

例えば、別の風景画像を挿入すると、下図のように、背景だけを変えた簡単な合成写真をつくることができます。

背景画像を合成したイメージ

さらに、図形を挿入して、吹き出しなどをつければユニークな画像を作成することができます。

画像に図形を挿入したイメージ

ただし、できあがった合成写真も、このままではそれぞれがバラバラに重なっているだけなので、少しでも動かすと位置がずれてしまいます。そこで、

グループ化

という処理をすることで、複数の画像や図形などのオブジェクトをひとつにまとめることができます。

まずは、それぞれの画像を選択します。複数のオブジェクトを同時に選択するには、「ホーム」タブの「選択」ボタンより、「オブジェクトの選択」を選択します。

「ホーム」タブの「選択」ボタンのイメージ

すると、カーソルが矢印に変化するので、マウスでオブジェクトを囲むように全体をドラッグすると、その範囲内のオブジェクトをまとめて選択することができます。

または、「Shift」キーを押しながらオブジェクトをクリックしていくと、ひとつずつ確実に選択していくことができます。ここでは、下図のように3つのオブジェクトを選択しました。

複数のオブジェクトを選択したイメージ

ただし、注意が必要なのは、オブジェクトが「行内」にある場合は選択することができないということです。その場合は、オブジェクトの折り返し位置を「背面」または「全面」に変更してから順序を調整してください。(順序については、基本操作編の ワードアートと図形の挿入 を参照してください)

そして、これら選択した画像をグループ化します。グループ化はとても簡単で、この状態のまま、「書式」タブの「グループ化」ボタンをクリックするか、右クリックメニューより、「グループ化」を選択するだけです。すると、3つの画像が合体されて1つの画像になります。

グループ化することで、簡単にコピーして使いまわすことができるので、合成したオブジェクトを何度も使う場合には、便利な機能になります。

一方、グループ化を解除するには、同タブの「グループ化」ボタンより「グループ解除」を選択するか、右クリックメニューの「グループ化」より「グループ解除」を選択すると、グループ化を解除することができます。

ただし、グループ化した画像等のオブジェクトは「図として保存」することができないので、これも注意が必要です。画像データとして取り出すことができるのは、あくまで単体のオブジェクトのみになります。

そのため、他のアプリケーションソフトにグループ化したオブジェクトをそのまま挿入することは困難です。そういった場合には、画像編集ソフトを使うほうが良いでしょう。

では、以上で、Wordで画像を編集・加工する方法については終了です。最後に、Wordから画像を抜き取るもうひとつの方法を補足しておきます。

先述のように、「図として保存」から画像データを抜き取っても良いのですが、こちらの方法ではWordを開く必要がなく、素早く取り出すことができます。

下図のように、Wordファイルの拡張子を「.zip」に変更するだけです。(拡張子については、拡張子とは を参照してください。また、拡張子が表示されていない場合は同項を参照して表示させてください)

ファイルの拡張子を変更しているイメージ

この「.zip」という拡張子は、圧縮ファイルの形式になります。(圧縮ファイルについて詳しくは、圧縮/解凍とは を参照してください)

このファイルをダブルクリックすると、解凍が始まり、任意のフォルダ(デスクトップなど)に展開(解凍)されます。展開されたフォルダを開いて、その中の「word」フォルダ →「media」フォルダを開くと、画像ファイルが格納されています。

フォルダに格納された画像ファイルのイメージ

どうして圧縮・解凍が行われるかというと、もともと「.docx」や「.xlsx」などのOffice2007以降のファイル形式は、ZIP形式で圧縮されたファイル形式だからです。(「.docx」や「.xlsx」ついては、主な拡張子 を参照してください)

この方法は簡単なうえ、Wordファイル内のすべての画像を、ひとつフォルダに抽出することができるので、なかかな便利です。

だたし、当然ながら「.docx」で保存されているファイルのみで有効な方法になります。どちらの方法でも、画質やサイズに変化はありません。

このような画像の抜き取りは、Wordに貼り付けてある画像を他の用途でも使いたい場合、例えば、もらったWordファイルなどで、原本となる画像データを持っていない場合に重宝します。

更新履歴

2015年10月7日
ページを公開。
2018年1月18日
ページをSSL化によりHTTPSに対応。

参考文献・ウェブサイト

当ページの作成にあたり、以下の文献およびウェブサイトを参考にさせていただきました。

文献
なし
サイト
なし