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IPアドレスとは(2) ~ 枯渇するIPv4と次世代IPv6 ~

項で解説のとおり、インターネットに接続しているコンピュータやルータなどの通信機器には、IPアドレスという固有の識別番号が割り当てられています。

IPアドレスは32桁の2進数から成り立っていますが、それを10進数に変換し、さらにドメインに変換することで、難解な数値の羅列から私たちは解放されています。

現在(2010年)でも、この32ビットのIPアドレスが最も多く使用されており、この32ビットのIPアドレスのことを、

IPv4(インターネット プロトコル バージョン フォー)

と言います。「v4」というのは「Version 4」のことで、IPのバージョンを表しています。つまり「Version 4」が最も普及しているIPのバージョンになります。

さて、本項タイトルのとおり、実は、

IPv4が枯渇(不足)している

のです。なぜなら、言うまでもなくインターネットに接続する機器全てに重複しないIPアドレスが必要だからです。

計算上は、2の32乗で、約43億通りのIPアドレスが存在するということになります。世界中の通信機器に固有の番号が必要とは言っても、43億通りあれば十分なような気もします。43億台以上の通信機器がインターネットに接続されようとしているのでしょうか?

答えは、イエスでもありノーでもあります。この問題にはいくつかの要因があるからす。

まず、43億通りのアドレスが全て使用できるわけではなく、一般の使用が認められていないアドレスもあります。例えば、前項で解説のとおりホストアドレスが全て「1」や「0」などのIPアドレスは使用できません。

次に、パソコン以外にもインターネットを利用する機器、デジタル家電や携帯電話の普及が大きな要因となっています。家電製品のエアコン、冷蔵庫、電子レンジなどの製品にIPアドレスを持たせることで、インターネットと融合した様々なサービスを生み出すネット家電が実現しつつあります。

例えば、携帯電話からインターネット経由で家庭内にあるDVDレコーダにアクセスして録画予約をしたり、お風呂やエアコンの温度調整、製造元による遠隔故障診断といった、家庭内の家電にリアルタイムでアクセスすることが可能になるのです。

また、携帯電話については、2008年末の時点で世界普及率が5割を超え、約40億台も普及しているそうです。携帯電話でインターネットのウェブサイトを閲覧することはもはや標準機能となっていますし、インターネットを利用して様々なサービスが提供されています。

単純計算で43億通りしかないIPアドレスはすぐにでも枯渇しそうですが、後述するNATNAPTなどの技術によって「アドレスの節約」をしながら枯渇を防いでいます。

そして一方で、IPアドレスの割り当てを始めた初期に、アメリカに代表されるネット先進国や大学、研究機関にIPアドレスをかなり大きなブロック(例えば「1~100まで」といった具合)で配分したため、膨大なアドレスが未使用であることも大きな要因となっています。

このため、未使用のアドレスの返還を求めたり、未使用のアドレスを売買しようとする声もあがっていますが、実際はあまり進んでいません。

このような要因で、IPv4は、早ければ2010年から2013年には枯渇すると言われています。この枯渇の時期については、2020年頃とか中には枯渇しないという説もありますが、

現状のままでは、IPv4の枯渇は必至

なのです。世界の人口は70億人ですから、単純に一人に一個のアドレスを割り当てることもできません。世界中でネット人口が増加すればまず間違いなく枯渇してしまいます。(2011年4月15日、日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)は、国内向けIPv4アドレスの在庫が枯渇したことを正式に発表しました)

ただ、この問題に対して、枯渇することがわかっていながら何もせずに手をこまねいていたわけではありません。総務省も2007年8月には、調査研究会を立ち上げていますし、IPv4を「節約」する技術の実践や、新しい技術開発も進められているのです。

そのひとつが、IPアドレスの節約です。これまで解説してきた、インターネットに接続するために必要な、世界に一つだけの限りあるIPアドレスを、

グローバルアドレス

と言います。これまでの解説とかなり矛盾するようですが、インターネットに接続するのに何も 全てのパソコンがグローバルアドレスである必要はない のです。

1台のパソコン単体でインターネットに接続する場合は、当然グローバルアドレスである必要があります。しかし、LANなどのネットワークからインターネットに接続する場合は、全ての端末がグローバルアドレスである必要はありません。

LANは、LANWANとは で解説のとおり、もともと閉じたネットワークであり、LAN内ではIPアドレスも自由に設定できます。そのLAN内でのみ重複しないIPアドレスであれば問題ありません。

しかし、インターネットに接続する場合は、世界中のどの機器とも重複することはできないので、LAN内の全てのパソコンがそれぞれインターネットに接続するというのは、IPアドレスの取得が大変な問題となります。

そこで、LANのようなネットワークからインターネットに接続する場合は、代表となる1台のコンピュータ(プロキシサーバ と言う)のみがインターネットに接続すれば良いのです。

本項でこの仕組みについての詳しい解説は割愛しますが、このようにインターネットに接続しているのがプロキシサーバのみでも、その他のパソコン(クライアント)からインターネットは利用できます。

なぜなら、プロキシサーバが代理でウェブページなどのインターネット上のデータを取得し、他のパソコン(クライアント)は、実際は、インターネットからではなくプロキシサーバからデータをもらっているからです。つまり、

クライアントはプロキシサーバにアクセスするのみでインターネットに直接アクセスしないので、グローバルアドレスは必要ない

ということです。言い換えると、LAN内の全てのパソコンがそれぞれ単体でインターネットに接続しなくても、代理のサーバコンピュータのみが接続して、他のパソコンはそこを参照すれば良いというわけです。

したがって、プロキシサーバがグローバルアドレスを1つ取得するだけで済みます。

そして、クライアントには、任意の、

プライベートアドレス

を割り当てます。プライベートアドレスは、実際にはインターネットに接続しないクライアントに割り当てられるので、LAN内でのみ重複しなければ問題ありません。こうした仕組みを利用することで、限りあるグローバルアドレスの有効利用につながります。

ただし、あまりに好き勝手なアドレスを付けると混乱するので、下表の範囲でプライベートアドレスを割り振ることになっています。

プライベートアドレスとクラス
クラスA 10.0.0.0 ~ 10.255.255.255
クラスB 172.16.0.0 ~ 172.31.255.255
クラスC 192.168.0.0 ~ 192.168.255.255

また、前項で解説したDHCPと似たような機能で、

NAT(ナット)とNAPT(エヌ エー ピー ティー)

という機能があります。NATは「Network Address Translation」の略で、NAPTは「Network Address Port Translation」の略になります。NAPTは「IPマスカレード」とも呼ばれます。

DHCP同様、NATNAPT機能は「ルータ」が備えています。機能を簡単に説明すると、

グローバルアドレスとプライベートアドレスを変換する機能

になります。つまり、ネットワークの内(LAN)と外(インターネット)で自動的にアドレスを切り替える機能になります。

具体的には、ルータがプライベートアドレスを持つパソコンとインターネットの通信を中継する際に、ルータ自身のグローバルアドレスに書き換えて 中継します。(ルータになりすまして通信するイメージです)

ただし、DHCPと異なり、プロトコルではなくあくまで「機能」になります。DHCPは、プールしたグローバルアドレスを各クライアントに割り当てていくのに使用するプロトコルですが、NATNAPTは、プライベートアドレスとグローバルアドレスを変換する機能になります。

これも、ルータ1台がグローバルアドレスを取得するだけで、それに接続しているクライアントのパソコンは、実質プライベートアドレスでインターネットを利用することができます。したがって、ルータは1つのIPアドレスを複数台のパソコンで使うための機器でもあります。

先ほどの「携帯電話」のインターネット接続についても、携帯電話会社にサーバコンピュータ(またはルータ)があってその配下に各個人の携帯電話が繋がっているイメージで、IPアドレスを節約しています。(実際は、グローバルアドレス数千個に対して、クライアントの個人携帯電話数千万台にプライベートアドレスを割り当てています。詳しくは下の参考サイトを参照してください)

このように、限りあるIPアドレス(グローバルアドレス)の有効利用が行われていますが、プライベートアドレスの利用も世界的にはまだ十分ではありません。新興国でのインターネットの爆発的な普及もあいまって、いずれにせよIPv4は枯渇することになると思います。

そこで、IPv4に替わるべく、新しい次世代IP規格が開発されてきました。それが、

IPv6(インターネット プロトコル バージョン シックス)

です。IPv4からの最大の変更点は、IPv4が32ビットなのに対し、

IPv6は、4倍の128ビット

に拡大されたことです。128ビットということは、2の128乗となり、使える数字の組み合わせは「兆」を超えてしまいます。枯渇の心配は全くありません。さらに、セキュリティ機能を持たせることもできるIPなのです。

IPv6のアドレス表記は、

128ビットを16ビットずつ8ブロックに区切り、16ビットの各ブロックの数値を16進数で表記

します。(IPv4ではピリオド「.」で区切りますが、IPv6ではコロン「:」で区切ります)16進数の変換については、2進数と10進数と16進数 で詳しく解説しています。

128ビットの2進数からIPv6への変換イメージ

このように、IPv4と比べればかなりややこしい表記となります。IPアドレスでサーバを指定するのは困難となり、今後、IPv6に移行すれば、DNSの役割はかなり重要なものになると思います。

このIPv6は、Windows Vistaで標準搭載され、IPv4よりもIPv6を優先的に使用する仕様になりました。(Windows XPでもサポートされているが追加的機能として) さて今後、IPv4からIPv6への移行の流れは加速して行くことになるのでしょうか?

実際のところ、スムーズに移行して行くのかというとそうでもありません。いくつかの障害(問題)があります。なかでも大問題となるのが、

IPv4とIPv6の互換性がない

ということです。Windows XPより前の世代のOSや、IPv6に対応していないソフトウェア、ネットワーク機器類などは、特殊な変換ソフトをインストールしなければ使えません。

つまり、そのままでは、現在のIPv4のインターネット網からIPv6のネットワークにアクセスすることができない のです。逆に、IPv6からIPv4のネットワークへのアクセスにも取り決めや制限があり、フリーアクセスではありません。(実際には、「トンネリング」という技術で通信を行います。詳しくは、VPNとは で後述します)

したがって、IPv4とIPv6の互換性がないので、通信するには新しい機器やソフトウェアの導入が必要となり、サイト運営者からすれば、IPv6とIPv4を併用するシステム運用が必要になり、追加投資は避けられません。

日本の大企業(IPv6では日本は先進国)でも、IPv6に対応したサービスを行う会社はそれほど多くありません。企業としては、今つかんでいるユーザーを確保するために、

IPv6とIPv4を併用することになり、結局のところIPv4が必要

になるのです。また

IPv6が導入されても通信速度が速くなるわけではない

ことや、ユーザーとしては現状に不便さを感じないことなど、IPv6導入のメリットが見えにくいことが普及を妨げています。

したがって、IPv6はIPv4と共存するかたちで、段階的に移行することが想定されています。Windows Vistaや Windows Server 2008への標準搭載で、機器の更新にともない、段階的にIPv6へ移行されることになります。

ただ、そうするとIPv4は、IPv6が100%普及するまでなくならないということになるのかもしれません。これは、全世界の話であるので、ヨーイドンで同時に移行することこそ不可能であり、IPv4にこだわる国や組織も出てくるかもしれません。

しかし、こうした問題があっても、IPv6が主流となって行くことは間違いなさそうです。IPv4の枯渇は確実ですし、中国、韓国、日本が主導して、IPv6への移行に消極的だったアメリカ(IPv4が足りている)もIPv6化宣言を表明しています。

このようにIPアドレスは、全世界で唯一のユニークな数字(唯一であることをユニークという)であり、IPは、インターネットの基礎となるプロトコルです。それが枯渇するというのは、現在、大変な過渡期にあると言えるのかもしれません。

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更新履歴

2008年7月25日
ページを公開。
2009年5月14日
ページをXHTML1.0とCSS2.1で、Web標準化。レイアウト変更。
2010年3月10日
プライベートアドレスとクラス対応表等の内容追加。
2011年4月18日
JPNICによるIPv4在庫枯渇発表の内容を追加。
2014年5月20日
内容修正。

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参考文献・ウェブサイト

当ページの作成にあたり、以下の文献およびウェブサイトを参考にさせていただきました。

文献
図解入門 インターネットのしくみ参考文献
作ろうiモードコンテンツ:iモードセンタの各種情報 | サービス・機能 | NTTドコモ
http://www.nttdocomo.co.jp/service/imode/make/content/ip/

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