LAN(ラン)・WAN(ワン)とは

インターネットを利用したことがない方はこのサイトをご覧になっていないわけで、今このページを見ているということは、インターネットを利用しているということになります。

当たり前のことですが、インターネットを利用することは誰でも簡単にできます。しかし「インターネットとは何か」の問いに答えることができるでしょうか?

インターネットとは、世界中のパソコンやネットワーク機器がつながった巨大なネットワークであるということはご存じだと思います。インターネットは、かつてインターネットワークとも呼ばれていました。

では、インターネットと、会社や学校または家庭にある数台から数十台規模のパソコンやプリンタなどをつないだ小規模なネットワークとの違いは何でしょうか。

インターネットの解説に入る前に、まず「ネットワーク」とは何かを考えてみたいと思います。

ネットワークとは、一言でいうと複数の機器が接続されて通信できる状態のことを言います。

ネットワークを構成する機器は、パソコンだけでなくプリンタやルータ、ネットワーク機能を持った家電製品など様々なものがありますが、ひとまず、パソコンとその周辺機器(デバイス)としましょう。

これらのパソコンやデバイスを相互に接続するには、共通のケーブルや無線規格によって接続します。ただ接続しただけではお互いを認識できないので、共通のケーブルや規格、プロトコル(のちほど学習します)といった共通ルールにしたがって接続します。

こうしてパソコンやデバイスを物理的につないで、お互いに認識し合える状態のことをネットワークと言います。

ネットワークの構築によって、どのようなメリットが生まれるかというと、

・データ通信が可能になる
・作業の分散化が可能になる
・プリンタ等の周辺機器を共有できる

といったメリットがあります。

もちろん他にもメリットはありますが、まずデータ通信が可能になるというのは、ファイルをディスク等で持ち運びしなくても、物理的につながっているので、一瞬で伝送することができます。

また、ネットワーク内にAというパソコンとBというパソコンがあった場合、AからBのパソコンを遠隔操作することも可能になります。どちらかのパソコンにファイルを保存しておけば、もう一方のパソコンから作業することができますし、ひとつの作業をネットワーク内の他のパソコンに分散して処理させることもできます。

さらに、エラーやトラブルによるデータ消失のリスクを分散することにもなります。

このように、

作業を格段に効率化することができる

ということがメリットです。

また、ネットワーク内に一台プリンタがあれば、一台ですべてのパソコンから印刷することができ、複数のプリンタを設定する手間も省けますし、省スペースにもなります。

こうして、企業や学校等では必ずと言っていいほどネットワークが構築されていて、作業の効率化を図っています。

このような個人や会社規模のネットワークを、

LAN(ラン)

と言います。

LANとは「Local Area Network」の略で、限定されたエリアにおけるネットワークという意味です。

同一建物(敷地)内で構築したネットワーク

LANになります。

家庭に2台以上のパソコンを保有している場合、LANでネットワークを形成すれば、インターネット回線をパソコンの台数分契約したり、ケーブルをつなぎ換えたりする必要はなく、インターネット接続を共有できるというメリットもあります。

現在では、Wi-Fi機能を持ったルータの機能で簡単にネットワークを構成してインターネットを共有することができますが、基本的にLANは、接続方法や接続条件など、共通のルールのもとで構成することになります。

LAN接続の具体的な接続方法については割愛しますが、そのためLANは、特定の人しか利用できないネットワークになります。関係ない他人が利用することはできません。

他人が利用できないように、インターネットとLANを物理的に切り離したり、インターネットとLANの間にファイアウォールという電子的なブロック塀を構築したりします。

昨今、問題となっているランサムウェアというコンピュータウイルスによる被害は、LANに侵入されて設定やデータを破壊されたということなのです。

さて、ではLANとインターネットの違いは何でしょうか?

LANは限られた範囲のネットワークであり、会社や学校などの限られた人だけがアクセスできるネットワークです。

対して、インターネットは全世界の不特定多数の人々が自由に利用できる開かれたネットワークになります。これがLANとインターネットの違いです。

利用者を限定するのがLANで限定しないのがインターネット

なのです。

具体的には、LANには「ネットワーク管理者」と呼ばれる管理者がいて、その管理者がLANのルールを策定したり、不正アクセス等の監視をしています。

一方、インターネットは、

全体を統括する管理者は存在せず、一定のルール(周知のルール)があるだけ

です。

つまり、容易な条件を満たせば、誰でも利用できるのがインターネットなのです。

スマートフォンを手に入れて契約をすれば、誰でもインターネットに接続することができますし、プロバイダと契約すれば、パソコンやゲーム機からインターネットに接続することが可能です。

詳しくは、本章で徐々に学習していきますが、業者と契約することが条件になるのではありません。インターネットに接続するための基本的ルールや設定が、パソコンやスマートフォンの購入時点ですでに完了しているということなのです。

現在では、インターネットへの接続を前提として製品が作られるようになってきました。あらゆるものがインターネットに接続される時代に入っています。

ほとんどの場合は、LANもインターネットに接続しているので、ネットワークの条件やルールが同じであることがほとんどです。そのため、LANもインターネットの一部のように思われますが、やはり意味合いは異なってきます。誰でも使えないネットワークはインターネットではありません。

LANについてもう少し具体的にみていきましょう。

LANには使用するケーブルの種類やデータの送受信方式などによって、いくつかの通信規格があります。

現在もっとも利用されている規格が、

イーサネット(Ethernet)

という規格です。

他に「トークンリング」や「FDDI」といった規格もありますが、現在はほとんどのLANがこのイーサネットです。LAN=イーサネットと言っても過言ではありません。

ただし、イーサネットは「有線」の規格で、LANケーブルによって接続する規格がイーサネットになります。LANケーブルにもいくつかの種類があります。(詳しくは、LANケーブルの種類とイーサネット規格 で学習します)

また「無線」の規格も存在しますが、無線LANの規格については、無線LANの規格とセキュリティー で詳しく学習します。

LANを形成すると、複数のパソコン同士がデータをやり取りするので、しばしばネットワーク上でデータの衝突が起こることがあります。

イーサネットでは、複数のパソコンから同時にデータが送信されると、データの衝突によって混信することを避けるため、いったんそれぞれが送信をとりやめ、ある程度の時間をおいてから再送します。

このようなイーサネットのデータの伝送方式は、CSMA/CD方式と呼ばれています。CSMAはネットワークの状態を調べて回線が空いていればデータを送信、CDはデータが衝突したら再送という方式になります。

接続しているパソコンの台数が多いと伝送効率も低下しますが、データ再送までの時間はわずかなものであるため、実質的には1本のケーブルで複数の機器が同時に通信することが可能になります。

接続形態として、一本のケーブルに複数のパソコンを並列に接続する「バス型」と、ハブ(HUB)と呼ばれる集線装置を中心として、そのハブに複数のケーブルを差し込んでパソコンを接続する「スター型」という接続形態があります。

多くは「スター型」でLANが構築されています。スター型はパソコンの増設が容易で、ネットワーク上の一台に不具合があってもネットワーク全体には影響しないというメリットがあるからです。

また、イーサネットでは主に「ツイストペアケーブル」と呼ばれるケーブルが用いられます。ツイストペアケーブルとは、中の芯線2本を1組として螺旋状に撚り合わせたものをまとめたケーブルで、ストレートケーブルまたはクロスケーブルと呼ばれています。

現在では、ほとんどストレートケーブルを使用しますが、HUBを使わず、パソコンとパソコンを直接1対1で接続(ピアツーピア接続)する場合などはクロスケーブルが利用されていました。

その他のケーブルには、「同軸ケーブル」や「光ファイバーケーブル」などがあります。

ツイストペアケーブルは、データの伝送速度(そのケーブルが伝えることのできるデータ量)等によって、カテゴリ1~7までのクラスに分けられています。

データ量の単位は「bps(ビーピーエス」)と呼ばれ「bits per second」の略になります。

1秒間に転送できるデータ量

を表します。

イーサネットの規格である「100BASE-T(テン ベース ティー)」では、データの伝送速度が100Mbpsで、「T」は使用するケーブルがツイストペアケーブルであるという意味になります。

最近では、速度が1Gbpsの「Gigabit Ethernet(ギガビット イーサネット)」が一般的になっています。

少し専門的になりましたが、これからパソコンのスキルがレベルアップするにつれて、イーサネットによるLANの構築にいつか直面することになる思います。

また「bps」という単位や転送速度については、その他の単位 で、無線LANの規格については、無線LANの規格とセキュリティー で詳しく学習します。

では、LANLANをネットワーク化したらどうなるでしょうか?

規模の大きい企業で、全国に支社がある場合、本社やそれぞれの支社内にLANでネットワークが構築されているのであれば、そのLAN同士をさらにネットワーク化する場合もあります。

つまり、LANLANをつなげるということは至極一般的なのです。

このようにLAN同士を接続して構築したネットワークを、

WAN(ワン)

と言います。

WANとは、Wide Area Networkの略になります。大企業であれば、日本全国はもちろん海外の支店ともネットワークした、ワールドワイドなWANを構築している企業もあるのです。

通常、WANの構築には、広域であるほど専用線を使うのはコスト面から一般的ではないので、電話回線や光ファイバーといった公衆回線を利用します。

WANLANよりもインターネットに近いネットワーク形態ですが、LANと同じく誰もが自由に利用できるわけではありません。同様に、この点がインターネットとWANの違いになります。

更新履歴

2008年7月25日
ページを公開。
2009年4月22日
ページをXHTML1.0とCSS2.1で、Web標準化。レイアウト変更。
2018年1月26日
ページをSSL化によりHTTPSに対応。
2022年6月2日
内容修正。

参考文献・ウェブサイト

当ページの作成にあたり、以下の文献およびウェブサイトを参考にさせていただきました。

文献
図解入門 インターネットのしくみ
ケーブル ~ 種類
http://www.fmmc.or.jp/~fm/nwts/rh_linux/ch2/2_3_1.html